STAFF COLUMN

スタッフコラム

くまのかぶりもの、僕の宝物 ~ 人の縁が結ぶ奇跡のストーリー ~

作成日:2025.5.12

こんにちは。パフの田代です。

 

今年のゴールデンウイーク

皆さまはいかがお過ごしでしたでしょうか。

 

弊社では、5月1日に中途入社でジョインした清水拓磨さんと

産育休から復帰した岡崎葉澄さんの歓迎会を有志で行いました。

 

今日は歓迎会であったエピソードトークを一つお伝えしますね。



中途入社の清水拓磨さんは、私が属する「コンサルティンググループ」になるため、懇親会の1コーナーを私が担当し、何か催し物を考えることになりました。

 

催し物を考える上でヒントにしたこと。それは名前です。実は弊社には、もう一人の「清水さん」がいます。ミドルネーム「知的な酒豪」こと、清水真理さんです。しかも同じコンサルティンググループ所属とあって“清水かぶり”が起きてしまい、この二人をどう呼ぼうか非常に悩ましい問題が起きていました。

 

清水拓磨さん。

 

たくまさん。

た・くまさん。

くまさん!

 

クマさんだ(ガオー)!!!

 

ひらめいた私は、拓磨さんに「くまのかぶりもの」を被ってもらおうと閃いたわけです。ということで、急いで購入し(くだらないことほど真剣に。私費で臨む人です)、前日夜に自宅に届き、無事にかぶっていただいたのですが…ここで事件が起こります。

 

【起】

 

木曜日の夜、都内某所。歓迎会は盛況のまま幕を閉じた。「コンサルティンググループの拓磨さん、くまをかぶってくれて嬉しい!」なんて思いながら、私は帰りの電車に乗り、くまのかぶりものが入ったエコバッグを網棚に乗せた。

 

酔っているわけではなかった。定期購読をしている愛読書・小売業界の専門誌「ダイヤモンドチェーンストア」のプライベートブランド特集を座りながらむさぼるように読んでいた私。気が付いたら最寄り駅に到着し、そのまま降りていた。

 

【承】

 

ホームに出た瞬間、何かがおかしいことに気づく。手ぶらだ。

 

「やばい…くまが…!」

 

なぜか「忘れ物」ではなく「くまがいない」という認識が先に来た。私のくま。私費で購入したモフモフのくま。今年のハロウィンパーティとか、自宅でかぶろうと思っていたのに…。

 

私は忘れ物を探すべく、問い合わせを試みた。でも、一瞬躊躇した。日々社会インフラを支えてくださる鉄道会社さんに対し、「くまのかぶりものを落としました。」なんて言っていいものだろうか。むしろ鉄道会社さんにこのまま寄贈し、彼らの宴会でかぶっていただいた方が社会貢献なのではないか。そんなことすら思った。

 

それでも、拓磨さんが、決死の覚悟でかぶってくれた「くまさんのかぶりもの」。彼の意思をむげにするなんて絶対にできない。私は決意をもって、問い合わせセンターに何度も何度も、ダイヤルコールした。なかなかつながらず、5回ほどかけ直した。

 

「つくば駅で回収されています。終点駅で保管中です」

 

ようやくつながったが、くまは茨城県にいた。

 

つくば…遠い。でも行くしかない。

私は一人、茨城県つくば市へ、くまに会うための旅に出ることになった。

 

【転】

 

私は、妙な使命感に燃えていた。まるでくまを助けに行くヒーローのような気分。あのモフモフした、どこか間抜けな顔が頭に浮かぶ。「俺が迎えに行くからな!」と心の中で誓いを立てる。

 

祝日、昼下がりの中。

終点のつくば駅に着き、窓口にいた駅員さんに声をかけた。

 

「すみません…あの、くまのかぶりものを忘れてしまって…」

 

「くま…ですね?」

 

なぜか笑わずに確認してくれる駅員さん。その優しさが嬉しかった。すぐに奥の扉を開けて引っ込んでいく。そして数分後、透明のビニール袋を手に戻ってきた。

 

「こちら、お忘れ物です」

 

袋の中には、間違いなく私のくまがいた。少しへしゃげた耳、表情のないゆるい顔、そしてうっすらと染み付いた私の汗と恥が入り混じった存在。私は思わず「ありがとう…」と小声でつぶやきながら、くまを抱きしめた。

 

【結】

 

その瞬間、なんだか少し泣きそうになった。でも、まるで長年離れていた相棒に再会したような、不思議な愛しさがそこにはあった。「拓磨さん、俺、やったよ。くま、取り戻したよ!」そこに拓磨さんがいたら抱きしめていただろう。そんな気分だった。

 

駅員さんは淡々と「お気をつけて」と一言。終点駅。人気のない構内に、私とくまだけがぽつんと取り残される。私はくまを抱えたまま、帰宅した。

 

その夜、私はようやく気づいた。くまのかぶりものは、ただの道具じゃない。誰かと笑い合った思い出のかたまりであり、ちょっとした人生のイベントでもあったのだと。

 

くまのかぶりもの。

僕の宝物。

 

これからもずっと大切にしていこうと思う。

 

 

いかがでしたでしょうか。

 

清水拓磨さんの歓迎会の話から派生したショートストーリー。

私にとって、忘れられないイベントとなりました。

 

くだらないことほど、真剣に。

これからも何事もポジティブに生きていこうと思う出来事でした。

 

拓磨さん、ようこそ!

くまさん、おかえり!
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