創業物語 プロフィール
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  第23話    「お前、なに考えとんじゃー!!(怒)」 2001/1/07  
「社、社長、ボ・ボクで良かったら採用しませんか!」

1983年10月に発したボクのこの一言で、ボクの社会人としての進路が大
きく回転しながら決定づけられていきました。

S社の社長は、リクルートの2年目バリバリ営業マンとして疑いもしなかった
ボクの正体が、実はまだ大学生、という事実に仰天し、しかも、そいつが急に
「自分を入社させてくれ」と言い出したものだから、二度ビックリだったよう
で、酒を飲む飲む。

その日はボクもかなり飲んでしまい、その後の記憶が定かではないのですが、
何しろ卒業を待たずに翌月から働く約束を交わしてしまったようです。

と、いうことはボクが籍を置いていたリクルートを辞めなければならない、と
いうこと。必然的に、このことはリクルートの人事担当者である兄のところに
もすぐに伝わるということ。そして九州に住む親にも伝わるということ…。

この頃のボクは、もう迷いは一切なく、むしろ大胆不敵な自分の行動に、
「んー…。なかなか俺も思いきりのいい男だねー…。
  将来は俺がこの会社を大きくして大会社の社長かな…へへへ」
なんて酔いしれていました。

しかし、案の定、母親からすごい剣幕での電話。

「兄ちゃんから聞いたバイ!あんたナンバ考えとっとかい!
  そげな小さな会社に入って、どげんするんかい!
  だいたい、アンタはな、……グチャグチャ……グチャグチャ……」

そこまで言うか!というくらい大変な罵声を浴びせられたものです。

また、その後、兄貴がボクの下宿に夜中突然訪れて、大説教大会。

「お前なー、もうちょっと色々考えろよ。
  その会社のどこがいいんだ。その会社の売上は?利益は?強みは?
  財務諸表はどうなってるんだ?社長の経歴は?なに!知らないだと!(怒)」

と理路整然と問いつめてくる兄に、理屈で言い返すことはほぼ不可能で、

「お前だって、日本で一番優秀な大学出たくせに、リクルートなんて当時は
  訳のわからんかった会社に就職したじゃねーか!
  なんで俺が、訳のワカラン会社に入るのがワリーんじゃ!」

と訳のワカランことで言い返すのが関の山でした。

まぁ、兄貴にすれば、自分が誘い込んだリクルートがきっかけで、弟が道を
踏み外す(実際には全然違うのですが)のが、やるせなかったのでしょうね。

ともあれ、兄もボクのあまりの強情さに「もう知らん、勝手にしろ!」とあ
きらめてはくれましたが…。

こんな感じで、親兄弟の反対を無理矢理押し切って、ボクの就職活動(とい
うのだろうか?)は、あっという間に終わってしまいました。

さぁ、明日からリクルートの営業マンじゃなくて、
ちっちゃなベンチャー企業の採用担当者だ。
反対した連中を見かえしてやるぞー!
大企業に入った連中よりも偉くなってやるぞー!

1983年の秋も深まった夜の、たった一人での決意でした。

                                  (よし、がんばれよ!…つづく)

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