自転車操業物語 プロフィール
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  第63話    「そして突然訪れた運命的な出会い」    
無断欠席の多かった(というか全員が無断欠席で参加人数ゼロだった)
パフの初めての会社説明会。

メンバーメールで、無断欠席が横行している現状を嘆き、強い口調で一喝し
てしまった。

翌日から、すごい勢いで学生からの感想メールが舞い込んできた。

おそらく20通近く舞い込んだと記憶している。
大半が同情と励ましのメールだった。

「そんな学生ばかりじゃありませんから、めげないでください」とか
「同じ学生として情けなく思います」とか、
「自分も軽い気持ちでドタキャンしたことがあります。反省しています。
これからは気をつけます」とかの意見が多かった。


とても救われた気持ちになった。
「そっか、パフの会員って、いい奴多いんだなぁ…」と改めて気付かされ
嬉しかった。



でも、一方で、辛らつな意見・怒り・苦情のメールも来ていた(2通だけだ
ったのだが)。


ひとつは、

「我々学生は大事な顧客であるはずなのに、あの物言いはなんだ!企業
だって、不合格だった学生には、何の連絡もくれないじゃないか!ドタ
キャンされるのは自業自得。お互い様だ!」という意見。

もうひとつは、

「無駄とも思える説教や愚痴を、大衆が読むメンバーメールで流すな!
私たちは、そんな説教を聞いているほど暇ではない!」という意見。


たった2通のメールだったが、ボクは正直言って、かなりショックを受けた。
と、いうよりも、このメールをくれた2人の学生を放っておけなくなった。


すぐさま、2人の学生に返事を書いた。


「世の中には無礼な企業があるのは事実。しかし、だからといって無礼
な行為とは無関係な会社にまで、無礼で返してしまっていいのか?
それじゃ世の中、いつまでも良くならない。殺伐とした風景が広がって
いく一方ではないか」

「パフは、学生に『物を言う』サイトだから、学生の良くないことは良
くないこととして、今後もうるさく説教を垂れていくつもり。説教を垂
れることが無駄だとは決して思わない。一人でも耳を傾けてくれる人が
いれば、それでいい。あなたも、ぜひ耳を傾けて聞いて欲しい」

というような内容だった(実際にはかなり長いメールだが)。


幸いなことに、後日、2人ともボクに返事を書いてくれた。
100%ではなかったかもしれないが、少なくとも、ボクがメンバーメール
を通して言いたかったことは、理解してくれたと信じている。


「顔の見える就職と採用」と言いながら、人に真意を伝えていくことの難し
さ(特にネットを通じてだとなおさらだ)を感じた一件だった。



ところで、話は、肝心のパフ会社説明会。


1日目は、全員がドタキャンという最悪の結果で、すっかり意気消沈してし
まっていたボクだったが、2日目の説明会は、この沈んだ気持ちを、ひっく
り返して余りあるほどの参加者がいた。

といっても、参加した学生は、7名の申込者中たったの1名だったのだが…。


その、たった1名の学生のためだけに、ボクは熱弁をふるって、
パフの説明をした。
傍から見ると異様な風景だったろう。
いや、それ以上に、当の学生は奇妙に思ったことだろう。
まさか、たったひとりの「会社説明会」など、未だかつて体験したことが
なかったろうから。


その学生の書いてきた「応募書類」は、とても秀逸なものだった。
感性の高さや、人柄の良さ、純粋さ、賢さを、十分に感じさせてくれるもの
だった。

ボクは説明をしながら「この学生には是非パフに入ってもらいたい」と思っ
ていた。


その学生の名前は……、「ヨシカワアユ」といった。

(お!つ・ついに…つづく)

 
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