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笠原の読書感想文『居場所の社会学 生きづらさを超えて』

作成日:2023.2.9

皆さんこんにちは。パフの笠原です。
皆さんにとって“自分の居場所”と感じる場所はどこですか?自宅でしょうか?職場でしょうか?はたまた旧知の仲間とのコミュニティだったり、いろいろな居場所があると思います。そんな“居場所にまつわる本を選んでみました。



『居場所の社会学 生きづらさを超えて』
2011年8月23日 1版1刷
著者:阿部真大
発行者:斎田久夫
発行所:日経新聞出版社

給料はきちんと払っているのに、従業員がすぐに辞めてしまう。
「ワークライフバランス」と言われても、そのバランスがうまくとれない。
この国の政治が信じられず、将来の自分の生活が不安だ。
家族や恋人との関係がなかなかうまくいかない。
思春期の子どものイライラの理由がわからない。

それは「居場所」の問題です!
『居場所の社会学 生きづらさを超えて』冒頭より引用

笠原的この本を読んで面白かった点3つ

居場所マーカーという考え方


居場所マーカーの詳細についてはぜひ本を読んでいただきたいのですが、簡単にいうと自分と自分の居場所といえるコミュニティのつながりを図式化することです。
文中では、居場所マーカーでのつながりの数だけそれぞれのつながりにおける「私」の「役割」があるとされています。そしてそのつながりのことを「いのちづな」と呼び、(場合によりますが)「いのちづな」を切りすぎるのは危険だと指摘しています。
昨今では企業の経営の場面で“エンゲージメント”という言葉が聞かれるようになってきました。企業が従業員に対してエンゲージメントを高める努力はすべきと思う一方で、個人単位で考えた時、エンゲージメントを高めるかもしれない「いのちづな」は案外企業の外にあるのかもと感じました。
私が受けた21卒採用時のパフ選考では、「他人からの推薦状」を用意する、という課題がありました。会社外で他社とどんな関係を持っているかや、第三者評価を知る為の課題だったと聞いていますが、ある意味居場所マーカーの様な役割も果たしていたように感じます。この他者との関わりをどれだけ待てているかという観点は選考や内定者フォロー、研修などで活用できそうですね。(どなたか一緒にプログラム作りませんか?!)

ヤンキーの居場所


第5章では、ヤンキーの居場所という題名で、社会のいわゆる「逸脱者」であるヤンキーについての言及があります。若者時代をヤンキーとして過ごしたとしても、身近にヤンキーを卒業し良い生活を送っているロールモデルがいる為、若いときに何をしてもなんとかなるだろうと楽観視できるという点が指摘されていました。
個人的にはこれは企業の新陳代謝にも言えることなのではないかと考えました。人材系大手のR社の方がどこかで言っていたのを小耳に挟んだのですが「R社はある意味日本有数の人材輩出企業である」らしいです。確かにR社出身で企業されたり活躍されている方の話はよく伺います。それはやはり退社しても次のキャリアを順風満帆に歩んでいる先人がいるから、また次の世代の人も安心して退社できるのではないでしょうか。
企業規模を大きくする目的がなく採用するのであれば、採用した分だけの退職者が必要になるのはある意味当然かと思います。最近はリスキリングの様に中間層以上の方に対する教育なんかも流行っていますがそれ以前に大切なのは、この先なんとかなるよと思ってもらえるようなロールモデルの存在なのかもしれないなと感じました。

流行りの歌から見える就業観


特別収録企業社会vsJポップの30年にて、世代ごとの流行りの歌から見える就業観について触れられていてとても面白かったのでピックアップしました。というのもパフは(今時珍しく??)カラオケ好きな文化で、日頃からさまざまな世代の曲を聴いているので本パートはなんだかパフの世代ごとの価値観にも通ずる様な気がしたからです。文中では実際に歌詞を引用して細かく述べられているのですが、簡単にいうと世代によって仕事そのものに対して嫌悪感を歌ったり、受け入れつつもなんとかうまくやろうよと歌ったりとさまざまなだよ、という内容でした。

皆さんはどんな歌(曲)が好きですか?私はけっこう雑食で、マイケルジャクソンや80sの洋楽をシャッフルで聴いたりだとか流行りのJポップを聴いたりアニソンを聴いたり特撮OPを熱唱したり、映画のサントラを聴いたりと色々なので一概にこうです!というのはないですが。自分の好きな歌から就業観が強く現れているものはあまりないなと感じました(時々エレカシの俺たちの明日とか歌いますが!)。
居場所マーカーの話の際に、社外との関わりについて少し触れましたが、こうした歌や曲のような娯楽は人の生活を支える重要な要因だと思います。たかが娯楽、されど娯楽かと思いますのでこうした娯楽も大切にしていきたいですね。

最後まで本コラムをお読みいただきありがとうございます。

今回この本を選んでみたのは、居場所について知ることができれば、会社における離職防止なんかに役立ちそうだなと感じたからでした。ところが、実際に読み進めてみると離職防止もそうですが退職後のキャリア形成だったり、世代ごとの価値観の違いなんかも取り上げられていてとても面白かったのでぜひ読んでみてください!

前回の読書感想文はこちら

 
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