創業物語 プロフィール
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  第21話    「内定辞退…?」 2000/12/17  
1983年9月のある日。

ゼミの先生の紹介で受験(ボクは訪問しただけのつもり)した製薬会社に、ど
のような返事(入社するのかしないのか)をしたら良いのか考えあぐねていま
した。

リクルートでずっと社会人の真似事(いや、売り上げ目標もあって結構マジだ
った)をしていたボクにとって、「就職する」という行為そのものが実感でき
ずにいました。

いや、実は、それ以上に気になっていた会社が1社あったんです。

第18話「釘ちゃんにウチの採用ぜんぶ任すよ」で登場した、ちっぽけなソフ
ト会社(S社とします)のことです。

そのS社、リクルートブックに載せたりDM打ったりしたんだけど、学生から
の反応はゼロ。

「確かに、これといった技術力があるわけでもなし、新卒の採用実績なんてひ
とりもない、ちっぽけな会社だしなー…」

いかんいかん、担当営業であるボクがそんなことでどうする!

「でも、俺が学生の立場だったらS社を受けるだろうか…。たぶん受け
ないな…」

ダメだこりゃ。

「でも待てよ。俺がS社の採用担当で、俺みたいな学生に近い先輩社員が
  S社にいたらどうだ…。少なくとも俺みたいな物好きな学生は採れる
  かもしれんな…」

なに?

「それに出来上がった大きな会社より、いろいろ面白そうだしな…。
  俺、S社の社長に自分の正体(学生だということ)バラして入社させて
  もらおうかな…」

お、おい待てよ!

そんな恐ろしいことを実は悶々と考えていたのでした。

よし、いろいろ考えていてもしょーがない。とりあえず、先生から紹介して
もらったA社は断ろう!
そう決心したボクは、先生の自宅に電話して、A社には気が進まないことと
ちっぽけなS社のことを考えていることを相談しました。

「まぁ、クギサキ君には普通の就職は似合わないと思っていたよ。
A社には、クギサキ君は九州に帰らなければいけないことになったと言って
おきましょう。あ、それとクギサキ君ね、後期はちゃんとゼミに出て来るん
だよ」

おもいっきり怒られるかと思いきや…。
さっすがクギサキ君の先生(この先生も入社2年程度で銀行を脱サラして
教授になった強者でした)。


さて、あとは自分自身、どう生きたいのか…。もう少しじっくりと考え
てみるか…。

22歳のクギサキ青年、人生の分岐点を迎えた初秋の夜でした。

                                              (んー…。つづく)

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