釘さんの100の出会い プロフィール
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  <第147話> 「新卒6期生 木村友香の巻」   2007/11/05  
 
いよいよ100の出会いも大詰めだ。今回は98番目の出会いだから、あと3回で この連載を終えることになる。連載を始めて丸3年間。大河ドラマもまっ青の 超大作となった。

のっけからちょっと脱線するが、この連載コラムを、中学3年生のときの同級 生が読んでくれたらしい。

連載が始まったばかりの第11話に登場した同級生の女の子だ(といっても今は すでに47歳のオバサンなのだが、僕の中ではいまだに中3の可愛い女の子)。

僕はコラムの中で、その女の子が実は僕のことを好きだったんじゃないか、と いうようなことを書いていたのだが、その部分を読んだ彼女が「あの人は、30 数年間ずっと勘違いしてるみたい。爆笑してしまいました。私は、当時、他に 大好きな人がいたのにねっ」と言っていたらしい。

このことがつい先日、別の同級生経由で伝わってきたのだが、軽いショックを 受けた。30数年もの歳月を経て、女の子に振られてしまったのだ(笑)。

それにしても、ネットの影響力の広さと強さには、あらためて驚いてしまった。 昔のこととはいえ、あまりいい加減なことは書けないものだ。

さて、脱線はここまで。今回からはまた、パフの社員の紹介シリーズに戻る。 「昔のこと」ではなく、すごく最近のこと。対象者は事務所のすぐ傍に座って いる。それこそいい加減なことは書けない(苦笑)。

・・・・・

今回の主人公は、新卒6期生。今年の春、入社したばかりの新入社員である。 名前を、木村友香(きむらゆか、以降キムラ)という。

先日、このコラムを書くために、僕はキムラに取材を申し入れた。実はそこで ちょっと失礼なことをしてしまった。

「キムラの下の名前って、ユウカだよな?」「えっと、字は“優香”だっけ?」

「ユカです。友に香るです。ああ、ショック。誰と間違えてるんですかっ!!」

と、キムラはムッとして答えた。そりゃ怒ってあたり前だ。よりによってタレ ントの名前と間違ってしまうとは……(苦笑)。


キムラは、東京都大田区大森の出身。東京生まれ東京育ちの生粋の江戸っ子だ。 生まれてこの方、ずっと大田区内で育った。彼女が通った大学も実家からほど 近いところにある。実は僕の後輩で、明治学院大学の出身なのだ。

キムラがパフと最初に出会ったのは、その明治学院大学で行われた、就職支援 セミナーでのことだった。

パフは創業時からずっと、明治学院大学で就職支援セミナーを開催している。 キムラが参加したセミナーは2005年の夏に開催した「食品業界セミナー」だっ た。

キムラはこのとき、セミナーの内容よりも、このセミナーを運営していたパフ に強い関心を持ったという。そしてその後、関心が尾をひいて、10月のパフの キックオフイベントに参加した。

このキックオフイベントが、キムラにとっても就職活動のスタートだったとの ことで、後に「このイベントが、就職活動の最初でよかった」と語っている。 就職活動に対する漠然とした不安が消えたというのが、その理由だ。

そして4月1日。キムラはパフの会社説明会に参加する。この説明会では、パ フ自身がパフを詳しく説明するのではなく、古くからのお客様や、パフを使っ て就職したパフのOB・OGたちが、「なぜパフを使ったのか?」をパネルデ ィスカッションを通じて説明してくれた。

キムラは、これを見て「パフに応募しよう!」と決意したという。が、僕はこ のとき、まだキムラの存在に気がついていない。

僕がキムラの存在を初めて発見し、意識したのは、説明会から一週間ほど後に 開催された一次選考の場だった。

この一次選考も変わっていて、月島のもんじゃ焼き屋さんの2階を借り切って 行われていた。鉄板を囲んで、もんじゃ焼きを作りながら、食べながら、ビー ルを飲みながら、パフの社員も交えて、議論や質疑を繰り返す。そういった趣 向の一次選考だったのだ。

僕はこの「もんじゃ選考」の様子を厨房から眺めていた。すると、奥のほうか ら、満面に笑顔を浮かべながら、うんうん頷いている女子学生の姿が視界に飛 び込んできた。多くを喋っているわけではない。ただ周囲の会話を、笑顔で受 け止めているだけなのだが、とてもいい雰囲気を周りに醸し出していた。この 女子学生こそが、キムラだったのだ。

最終選考は、パフでの一週間のインターンシップだった。インターンシップの 最終日は、学生向けのイベントのスタッフとして全員に働いてもらっていた。 僕はそこでのキムラの働きぶりを見て、彼女を採用したいと最終的に判断した。

このイベントでのインターンシップの仕事は、「来場した学生の対応をする」 という大雑把な役割しか決っていなかった。

他意はなく、単に社員社員たちの段取りが悪く、彼らに役割を振れていないだ けの話だったのだが、僕はそのことを逆手に取り、「役割が決っていないなか で、どれだけ能動的に動き回れるか」を観察していた。

キムラは、遅刻して入室してきた来場学生に対して、誰よりも素早く反応して いた。さっと学生に近づいて、持ち前の笑顔で丁寧に、かつ自然に席を用意す る姿を見て「決まりだ」と判断したのだ。

そして2007年4月。キムラは正式にパフに入社した。まだ半年ちょっとしか経 過していないが、すでに多くの苦労をしてきている。本人曰く「6月から7月 にかけてはドツボにはまっていた」という。確かにそのころは、持ち前の笑顔 が消えていたように思う。

現在は、その“ドツボ”を脱し、逞しさを身につけてきたようだ。笑顔も戻っ てきた。キムラのことを頼りにしてくれるお客様もいる。先輩たちにもキチン と自分の意見を遠慮せず言えるようになってきた。

キムラは、パフを就職先として最終的に選んだ理由を「世の中に、ぜったい必 要な会社だと思ったから」だと言った。

今度はキムラ自身が、「ぜったい必要な人材」になる番だ。といっても焦る必 要はない。一歩一歩着実に、力をつけていってくれたらと思う。

持ち前の笑顔、周囲への気遣い、能動的な行動力。いずれもキムラの入社に際 して僕が評価したポイントだ。これらの力は、きっとこれから存分に活かされ ていくことだろう。

ということで98番目の出会い。新卒六期生のキムラこと、木村友香との出会い でした。
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