釘さんの100の出会い プロフィール
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  <第134話> 「新卒二期生 村上かずみの巻」   2007/07/30  
 
「おいムラカミっ!おまえ、ふざけてんじゃねえぞっ!わかってんのか!?」

僕はイライラしながら、このような罵声を浴びせていた。ほぼ毎日、怒ってい たような気がする。

怒られているのは、新卒二期生の村上かずみ(以降、ムラカミ)。彼女が最も 怒らていたのは、まだ内定者だった大学5年生のころだ。いや、正式に入社し たあともしばらくは、怒られ続けて(僕から見れば怒り続けて)いたかもしれ ない(苦笑)。


ムラカミも他の内定者と同様、内定をもらった直後からパフで働き始めた。

他の内定者は、夏休みが終わると、授業の関係で週に3日くらいしか出社でき なかったのだが、ムラカミの場合は正式入社の4月まで、ほぼ毎日をフルタイ ムで出社していた。

そもそもムラカミは、卒業するための単位をすべて取り終えていた。つまり、 大学に通う必要がなかったのだ。

猫の手でも借りたかった当時の僕が、これほど好都合な人材をみすみす見逃す はずがない。必然的にムラカミは、膨大かつ重要な仕事の数々を、一身に背負 うことになった。

お客様の採用ホームページや入社案内の制作、会社説明会のコーディネート、 採用業務のアウトソーシングといった、(内定者が担うには)相当に難易度の 高い仕事を担当させた。

まだ何の知識も経験もない「学生」なわけだから無理もないのだが、仕事は当 然、穴だらけ。冒頭に書いたような罵声を浴びることになったわけである。

ちなみに、当時の内定者の日給は5千円。ムラカミの1日の平均労働時間は、 推定12時間。時給にすると、なんとたったの400円で働いていたことにな る。

それなのに、仕事の内容は高度で、ミスをすると社長である僕からこっぴどく 叱られるというのだから、これは酷な話だ。いま振り返ってみると、さすがに 可哀想になってしまう(苦笑)。


時は流れて、入社1年目の冬の話だ。とある制作物の仕事で、ニッチもサッチ もいかない事態となっていた。お客様と約束した納期まであと数週間しかない にもかかわらず、殆ど仕事が進んでいなかった。もはや絶体絶命。手遅れの状 態だった。

その事実を知った僕は、当然のことながら激怒した。僕の尋常ではない怒りよ うで、事の重大さにやっと気づいたムラカミは、顔面蒼白。オロオロするばか りだった。

結局、お客様へのお詫びや、制作内容や工程の見直しなど、僕が深く介入する ことになった。それまでムラカミと一緒に仕事を進めていた制作会社を「切る」 という厳しい処分もせざるを得なかった。

一連の応急措置を済ませたあと、落ち込んでいたムラカミを元気づけてあげよ うと焼肉屋に連れて行ったのだが、当のムラカミは泣いてばかりで、ほとんど 箸をつけることができないでいた。

この事件をきっかけとしてムラカミは、仕事の厳しさ、人を巻き込んで仕事を 遂行する苦しみ、営業担当としての責任の重さといったものを、嫌というほど 味わったのではないだろうか。


そんなムラカミも、(内定者時代まで含めると)すでに丸6年間パフで働いて いることになる。

ムラカミは一見、おとなしそうで従順にみえる。しかしその実、とっても負け ず嫌いで、強情で、我が道を行くタイプだ。

周囲をハラハラさせながらも、気がつけば大きな仕事をキチンとやり遂げてき た。

仕事とは関係ないが、僕らオヤジたちの年代の唄(1970年代のフォークソング など)に精通しているのも、ムラカミの大きな特技である。ムラカミと懇意に していただいているお客様には、僕と同年代のオヤジ系の方々が多いというの も、なるほど頷ける。

いまでも僕は、「こらっ、ムラカミ!!」と叱るような口調で、彼女を呼び止 めることが多いのだが、実際には、いろいろと教えてもらうことばかりだ。実 に頼りになる人材に成長してくれたものだと思う。

ということで87番目の出会い。新卒ニ期生のムラカミこと、村上かずみとの 出会いでした。
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