釘さんの100の出会い プロフィール
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  <第59話> 「【新年特別編】素晴らしき出会いとの再会 (最終回) 」   2006/01/30  
 
1月2日の夕方5時から始まった30年ぶりの同窓会。7時半にいったんお開 きになったのではあるが、ほとんどの同窓生たちは2次会の場所に向かった。

2次会のお店は、僕が由布院小学校に通っていた頃の通学路の途中にある「コ ンパ」という大きめのスナックだった。全店貸切の状態だった。

この2次会の場所でも、さらにそれぞれの旧友たちとの話しがはずんだ。昔の 記憶がどんどん蘇ってきた。

そしていよいよ、かつてのマドンナ、キヨさんと話しをするチャンスが訪れた。

「あぁパンダぁ♪ ひさしぶりやねぇー。元気やった?」
「あ、き、キヨさん!? うん、げ、元気やった」

「いま、何しよんの?」
「う、うん。東京で、ちいせぇ会社やりよるんやけどな、ははは」

「へぇー、東京の社長さん? すっごいやん!!」
「い、いやぁ、そうでもねぇんやけどな……。キヨさんはどげしよんの?」

「私は熊本で主婦しよるんよ。3人子供がおって、上の子は20歳になるんよ」
「え!? もうハタチの子がおるんかい! そうか、そりゃそうやなぁ。
俺んとこの子供も、今年で15歳になるんやもんなぁ……」

とまぁ、他愛ない会話が続いたわけだが、それでもかなりドキドキした。
なんたって30年前の憧れの君である。

悪友の姫野の事前の話しでは、「いやー、パンダ、あんまり期待せんほうがい いぞ。そりゃ昔は15歳で可愛い中学生やったかもしれんけど、いまは、単な る45歳のオバサンぞ」などと、悪態をついていたが、とんでもない。
いまでもマドンナの眩しい笑顔は健在だった。

この2次会の会場で過ごした時間は約3時間。もう時計は11時だ。
それでもまだまだ話しは尽きない。

幹事のカンテンが3次会に行こうと言い出した。さすが地元で45年暮らして いるカンテンだ。ほとんどの店に顔がきく。ほどなく店が決まり、小学校の裏 手のほうにある小さなスナックに皆移動していった。

ホントに小さなスナックだった。それでも30人近くの旧友たちが移動してき たので、もうパンパン。すし詰め状態で、カウンターの向こう側までも占拠す ほどの有様だった。

このスナックで33年ぶりの会話をしたのが涼子ちゃんだった。小学校6年生 のとき一緒のクラスだった女の子。最初会場で会った時は、涼子ちゃんだと気 付かなかった。あまりにも大人になっていたからだ(あたりまえか?)。

涼子ちゃんとの思い出の会話の一部。

「私、いまでもクギサキ君との思い出で、忘れられんことがあるんよ♪」
「え、な、なに?」

「算数の授業の時に先生が出した難しい問題に、私が手を挙げて答えたんや」
「うん。涼子ちゃんアタマ良かったもんな」

「そしたら先生が、『おまえ、虎の巻を見たやろが』って疑って…」
「ひでえな」

「もう私、悔しくってな。でもすぐにクギサキ君が
 『先生そげんこつねえよ。こうやって解きゃすぐ答えが出るけんな。
  涼子ちゃんもそうやって解いたんやと思うで!』
って言い返してくれたんよ」

「へぇ、そげなことが、あったんや」

「私そんとき、たまらんごと嬉しくってな…。今でもずうっと憶えちょるんよ」
「……(感動の涙)」

こんな感じで同窓会の3次会は延々と続き、すべてお開きになったのは深夜3 時をすでに回っていた。僕はその3時間後には、大分空港に向かうタクシーに 乗るという、まさに強行スケジュールの正月だった。

・・・・・

ということで、新年早々4話連続で書いてきた「素晴らしき出会いとの再会」 ですが、元々の出会いは、このコラムの、
<第09話> 「か弱き少女、涼子ちゃん」
<第11話> 「湯布院中学3年1組」
<第30~31話> 「長崎で出会ったフィリピンの船乗りさん 」でも書いて います。

単なる僕の思い出話ではありますが、『人の「ひと」としての出会いと関係作 りの大切さ』っていうことを、あらためて考えさせてくれます。もし良かった ら下のバックナンバーに収録されていますので、お時間があるときにでも、ど うぞお読みください。

http://wakamono.puff.co.jp/member/column/kugi05/kugiCollList.html

次回からは通常のコラムにもどって、新たな出会いを書かせてもらいます!
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