釘さんの100の出会い プロフィール
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  <第04話> 「初恋の人「れい子ちゃん」。颯爽と現る (後編) 」   2004/11/29  
 
いじめっ子たちを睨みつけ追い払うときのれい子ちゃんは、とても厳しく険し
い表情をしていました。

でも、いじめっ子たちが退散したあとの、僕のほうを振り向いた彼女の顔は、
まるで天使そのもの。大きな瞳。キリっとした眉毛。薄紅を差したような白い
頬。そして、ちょっとだけ照れくさそうに微笑む口元。

僕の小さな胸は、ドキドキと高鳴っていました。

れい子ちゃんは僕に「負けちゃダメだよ!」とひとこと。そして僕の手をとっ
て「一緒に帰ろうよ」と笑顔でやさしく言ってくれました。

僕の家は、れい子ちゃんの家と同じ方角。15分くらいの帰り道を、ずーっと
ドキドキしながら歩いたことを覚えています。

・・・・・・

僕とれい子ちゃんは、由布院小学校の同級生(たしか1年2組)でしたが、面と
向かって話したことはそれまで一度もありませんでした。でもこの事件がきっ
かけで、僕とれい子ちゃんは、たびたび一緒に家まで帰るようになりました。

れい子ちゃんという存在のおかげで、僕はそれ以来、次第に生まれつきの明る
さを取り戻せるようになってきました。

そして気がついたころには、いじめっ子たちのいじめは、もうなくなっていま
した。

・・・・・・

三学期も無事終わり、れい子ちゃんに会えず過ごした春休み。そして迎えた始
業式。新二年生の僕らはクラス替え。新しい教室に行くと、れい子ちゃんの姿
はそこにはありませんでした。

どこのクラスになったんだろう……と、他のクラスを覗いてみてもれい子ちゃ
んの姿はありません。不吉な予感に襲われる僕。勇気をふり絞って「先生、1
年2組だったれい子ちゃんは何組になったん?」と新しい担任の先生に聞いて
みました。

「れい子ちゃんはね、お父さんの仕事の都合で引越したんよ。お父さんは自衛
隊の人やから引越しが多いんよねぇ。いまクギサキくんの知らん遠くの学校に
いるんよ…」

こうして、僕の淡く儚い初恋は数ヶ月で終わってしまったのです。

3つめの素敵な出会い。それは初恋の相手、れい子ちゃん。

「負けちゃダメだよ!」という言葉と微笑みが、37年の歳月を経た今も、
まるで昨日のことのように僕の心によみがえって来ます。
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