自転車操業物語 プロフィール
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  第90話    「内定者が仕切った“キミは就職できるか?”」(その1)    
先週に引き続き、2000年11月11日(土)。

場所は福島・飯坂温泉の旅館の一室。

ボクの娘(当時小3)と、内定者タカノリとの、壮絶なポーカーバトルが、
繰り広げられていた。

「アヤちゃん、大丈夫やわ。タカノリの奴、たいした役もでけてへんクセに
突っ張っとるだけやわ。アヤちゃんのこの手やったら、絶対に勝つって!」

そういいながら、娘を励まして(そそのかして?)いるのは、同じ内定者の
フルカワアキコ(大阪出身)。

娘は、その言葉を信じて、最後のマッチ棒(コインの代わり)を積み上げた
のだった。


「さぁ勝負!」


皆、息を呑んだ。

まずは、うちの娘が、カードを並べた。


「おぉ!」


皆、どよめいた。なんとフルハウス、見事な役が成立していた。

この役なら、楽勝だろう。誰もが、そう信じた。


「ちょっと、タカノリ、早く出しなさいよ」

フルカワから、そう言われたタカノリは、少し躊躇しながら自分のカードを
前に並べた。


並べ終わった瞬間……。

時間が止まった。皆の息も止まった。周囲の景色も凍りついた。


「ま、まさか…、そ、そんなバカな……」


タカノリが並べたカードは、4カードだった。つまり、同じ数字のカードが
4枚揃っているのだ。

滅多にお目にかかれない、当然、フルハウスより上位にくる役だ。


娘は、周囲の気まずい雰囲気を察知して、自分の負けを悟ったようだった。

表情がみるみる変化していく…。顔が紅潮していく…。
目にはたくさんの涙が溢れそうになっている…。そして……。


う~ん、ここから先は書けない。あまりにも残酷すぎる。

この後のことは、読者の想像に任せることにしよう。



以来、タカノリは、ずーっと(3年たった今でも)、ボクの娘はもちろんの
こと、ボクやボクのカミさんに気を遣うことになったという事実だけは、お
知らせしておこう。

そして、この旅行から帰ってしばらくの間、ボクは毎晩、復讐に燃えた娘と
ポーカーの練習をやるハメになったのだった。


……


さて、何事もなかったかのように、物語は先に進む。


旅行から帰ったボクと内定者の4人が、次に取り組んだ課題。

それは、イベントの開催であった。

パフ設立の翌年から行っていた就職応援イベント“キミは就職できるか?”。

これを、この年は内定者と一緒に作り上げていくことにした。


イベントの開催日は、2000年12月8日。もう、あと1ヶ月もなかった。


ボクは、イベント企画・運営責任者として、
内定者のヨシカワアユを任命したのだった。

(お、やっと新展開ですな。…つづく)

 
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