自転車操業物語 プロフィール
バックナンバー一覧へ
 
  第58話    「さーて、移転先はどこにしよう」    
2000年3月。

資金調達活動と並行して、新しい事務所となるべきところを探していた。
ちょうどいいタイミングで、事務所の郵便受けに、オフィスビル仲介業者の
DMが入っていた。

見てみると、中央区界隈のオフィスも結構多い。

「ふーん。思ったほど家賃も高くないな。これなら、なんとか借りることが
できるかも…」

資金調達はうまくいっていなかったが、なんとか引越しは決行するつもりで
いた。

………

ちなみに、この頃のパフの事務所(初代事務所)は、「中央区新富町」とい
うところにあった。10坪強の広さで、家賃は、光熱費・共益費込みで、
毎月15万円ほど支払っていた。

机は、全部で6つ置いてあったのだが、物置のスペースはもちろん、打ち合
わせスペースすらないような、狭い事務所だった。

しかも、冷暖房装置は20年くらい前の代物で、電源を入れると、煙と砂と
異臭が噴出してくる。

ゴキブリは(推測)数十匹は住み込んでいたと思う。
台所においてある“ゴキブリホイホイ”には、常に、数匹の黒いカタマリが
貼り付いていた(汚い表現でゴメンなさい)。

トイレにいたっては、なんとユニットバス仕様。
小さなバスの横に、ちょこんと様式トイレがくっついている。
水洗トイレではあるのだが、かなりの高確率で、水が流れていかない。
いや、流れたかと思うと、流れっぱなしで止まらない。


などなど、いろいろと不具合・不都合の多かった、パフの初代事務所では
あったのだが、今思い返すと、悪かったことばかりではない。

なんたって、ボクにとっては、パフを設立して初めての城のようなもので
ある。

事務所への入居手続きをして、鍵をもらって、掃除をして、ドアに貼り付け
る看板を作って、机を入れて、パソコンを入れて、電話を引いて、仕事を開
始した日のことが、とても懐かしい。

たかだか5年半前のことなのだが、まさに文字どおり裸一貫の、右も左もわ
からない、初々しい素人経営者が誕生した事務所なのだ。

この事務所は、創業の頃の極貧のパフをずっと見守ってくれた。

お客様を獲得して小躍りしたこと。
暑い夏の日、大勢のインターンシップが、座る椅子もなくあふれていたこと。
思い出すと辛くなってしまう数々のイザコザ……。

この初代事務所は、すべての出来事を、みーんな知っているのだ。

今でもたまに昔の事務所の側を通ると、感慨深いものがある。

……

おっと、随分長い脱線をしてしまった。

話は2000年3月、オフィス仲介業者のDMを見ていたところに戻る。

ボクは、早速、この仲介業者に電話して、詳しい話を聞いてみることにした。
物件の候補をいくつか携えたうえで、仲介業者の営業マンが数日後来社して
くれることになった。

(いい物件はすぐに見つかったのかな?…つづく)

 
<<  前のコラムへ 次のコラムへ  >>
 
バックナンバー一覧へ