自転車操業物語 プロフィール
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  第56話    「忍び寄る悪魔たち、その4」    
2000年2月中旬。

「個人の資産家をはじめとして、様々なネットワークを有している。
3000万円くらいまでなら、いつでもOK。報酬は成功報酬で構わない」。

こんな話を持ち込んできた会社があった。

「成功報酬ならリスクはないし、悪くないかも…」

そう思ったボクは、詳しい話を聞くことにした。
その会社はST社という。

大手証券会社で企業の公開引受やM&Aをやってきたという社長に会った。
特に胡散臭さは感じなかったし、きちんと成功報酬の契約を交わした上での
依頼なので問題ないと思った。

しかし、話を進めていく中で、あれ?ということが出てきた。

●ST社 : 「釘崎さん、投資家に御社のことをきちんと紹介するためには、事業
計画書を出さなきゃならないんです」

◆クギ : 「事業計画書ならありますよ、こんな感じのものなんですけど」

●ST社 : 「そんなに薄いんじゃダメです。投資家を納得させるための作り方っ
てものがあるんです」

◆クギ : 「はー」

●ST社 : 「それがないと、投資家に御社のことをつなぐのは難しいですね」

◆クギ : 「そんなぁ。なんとかならないんですか?」

●ST社 : 「うちで作ることはできますが、それなりの時間とお金はかかりますよ」

◆クギ : 「っていくらくらいですか?」

●ST社 : 「200万円。ただし、投資家がつかなければ半額で結構です」

◆クギ : (それでも100万円かぁ。大きい金額だな。でも3000万円の
キャッシュが手に入れられるんだったら…)

そう思ったボクは、事業計画書の作成を依頼することにしたのだった。

それから約2週間。事業計画書を作るための打ち合わせを、ST社の担当者
と重ねたが、どうもしっくりと来ない。

一応はできあがったのだが、自分で作っていた事業計画書の方が、どう見て
もパフらしくて、納得できる。

「まぁプロにはプロの作り方、見方ってもんがあるんだろう」

ボクはそう思うことにして、しっくり来ない自分の会社の事業計画書を眺め
ていた。

(でも、こんなんで200万円とは、いい商売だねー…)

(さて、投資家はつくのか?…つづく)

 
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