自転車操業物語 プロフィール
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  第26話    「パフの就職イベント“キミは就職できるか?”」    
1999年1月。

パフの設立から、丸1年が経過していた。
資金繰りに追われる毎日。思うようにいかない営業活動。去っていく人々。
今思い出しても、辛いことの多かった1年間だった。

しかし、その反面、やることすべてが初めての試みであり、何もない荒野に線
路を敷いていける醍醐味に、楽しさを感じることもあった。

この時、「パフの職サークル」に登録してくれていた学生の数、約1万人。

もっともっとパフの知名度を上げなければならないと思った。
と同時に、パフの先行きに、少なからぬ不安を感じていた自分自身に対して、
モチベーションアップをはかるための何かをやらねば…と思った。

営業マン研修をやってもらっていた“寺さん”と雑談していたある日のこと。


釘 : 「寺さん、いっちょ景気付けに、イベントでも一緒にやりませんか?」

寺 : 「お、いいね釘さん! やろうやろう!」

もともと“お祭り騒ぎ”が大好きな寺さん。すぐに乗ってくれた。

釘 : 「じゃー、さっそく企画会議を開きましょう!メンバーは…」


ボクが考えた会議メンバーは、まず学生だった。
学生向けのイベントをやるのならば、やはり学生の生の声を聞きながら、企画
を練るのがイチバンだ。そう思った。

この頃、パフに協賛してほしいと訪ねてきていた学生団体がいた。
“キーパーソンズ”という名前の団体で、彼らは、自分たちの仲間である学生
を対象に、いろんな進路の可能性を提示していこうと考え、さまざまなイベン
トを企画実行している団体だった。

その団体の幹事をやっていた2名の学生に会議への参加を要請した。
(会議当日、4名もゾロゾロとやってきたのには、まいったが…)

そして、もう一方の会議メンバー。これはやはり協賛企業の方にお願いするに
限ると考えた。

すぐに候補者があがった。
三菱商事の課長Iさんだ。

「三菱商事」という会社の看板が学生に与える影響度もさることながら、Iさ
ん個人の、学生に対する“思い”を、ひしひしと感じていたからだ。
Iさんは、2つ返事ですぐに引き受けてくれた。

そして、その他に大学(釘の出身校)の就職部から1名。パフの制作物デザイ
ンを手がけていたデザイナーが1名。そしてボクと寺さんという構成だった。


数日後、これらメンバーと喧々諤々の会議を行った。5時間くらいのぶっ続け
の会議だったように記憶している。

この会議で決まったことは大きく2つ。

ひとつは、イベントの「目的と中身」。
そして、もうひとつは、このイベントの「名前」だった。


目的は、言うまでもなく「学生の就職応援」。

マニュアルや噂に振り回されている学生や、ひとつの考えに凝り固まった学生
に、「あれ?そんな考え方もあったんだ…」という風な気づきを与えてあ
げたい。「目から鱗が落ちる」ような、そんなイベントにしよう!ということ
になった。

中身は、月並みではあるが、学生と企業のパネルディスカッション形式で進め
ることにした。

分かりやすくするために、ディスカッションのテーマを3つに分けた。
   1.「自分探し」 2.「仕事探し」 3.「会社探し」
である。

そして、それぞれのテーマのディスカッションを進める前に、5分程度の寸劇
を3部構成で行うことにした。
テーマに沿った寸劇を、笑いを交えて行うことで、客席にいる学生をリラック
スさせ、舞台上に引き込もうと思ったのである。我ながら妙案であると思った。


さて、問題はイベントの名前であえる。これは、かなりもめた。というか煮
詰まった。なかなかいい案が浮かばない。

時間がかなり経過していた。

誰がこの名前を口に出したのか、確かな記憶がない。
しかし、この題名案があがった時、「うん、これだ!」という閃きが走った
のはよく覚えている。

その名前とは……

   「パフの就職イベント“キミは就職できるか?”」

であった。

(さて、うまくいくのかな?…つづく)

 
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