組織戦ではなく個人戦の世界を、どうわたっていく? —「空気を読む力」と「価値を生む武器」
作成日:2026.1.9
こんにちは。パフのツルです。
年始なのでたまには、ゆっくり書いてみます。
いまの世の中は、巨大な組織や看板に守られる感じが薄れ、ひとりひとりが自分の足で立って、自分の責任で動く「個人戦」の時代に見えます。
そんな世界で生き延び、いや、できれば機嫌よく生きるためのヒントは?もやもやと考えます。
人は自分が見たいものしか見ない。
だからこそ、相手の視界に合わせて動ける「空気読み能力(敵を減らす力)」と、
視界を変えるほどの効果を出せる「価値を生む武器(価値創出力)」がいる。
この二つが両輪。どちらか一方だけでも前には進めるけれど、長い距離を、無理なく進むなら両方ほしい。
若者の「空気読み」は生存戦略
学校で、一度も教室を見渡さず、黒板と自分のノートだけを相手に話し続ける先生に出会ったこと、きっとありますよね。
閉じた教室で、子どもたちはその先生を「先生」と呼び、文句も言えずストレスを抱える。
それでも彼らは、こう言ってくれる。「先生、悪気はないから」「先生の性格だし」。(先生を上司に置き換えても同じ)
そのやさしさと機転に触れると、今の子はやさしいなーと思います。
今どきの若者たちは、パワハラに敏感で、権威に距離を取る術を身につけ、昭和のノリをさらりと笑顔で受け流す。
ネットでも、礼儀正しく、はっきり言うけれど丁寧。そんなやり方を選べる人が増えた。
彼らは経験値こそ少ないかもしれない。でも、敵を作らないための振る舞いにかけては、驚くほど成熟している。
それは「事なかれ主義」に見える瞬間もあるけれど、長いものに巻かれながらも、芯を守るためのしたたかな技なのだと思う。
言葉を選び、場を温度調整し、火種を火事にしない。
空気読みは、相手をねじ伏せないための知性でもある。
そして、本音は隠して行動する――ゲリラ戦のように。
これは幼く見えるどころか、むしろちゃんとした「生存戦力」。
価値を生む武器:AIを味方にする近道
もうひとつの車輪――価値を生む力。
ここに関しては、時代が大きく舵を切って、AIが完全にスタンダードになりつつあります。
身近でも、コードの自動生成、テストデータの生成、修正、差分のGitアップ、ドキュメント化…圧倒的な密度とスピードで実施しています。「命令以外の作業はすべてAI」。もはやパラレルワールド。でも、これからの標準。
プログラミング言語をゼロから勉強して、積み上げて……というアプローチは、少なくとも“実務の速度”という観点では、もう古いのかもしれません。
年の功が価値薄に見える時代。だからといって、ぼやいているだけではもったいない。
小さくても、必要なものを具体的に形にする。ここに勝機がある。(と思いたい。)
現場のAI効率化、動くツールを作る。それは大企業の大発明じゃなくてもよくて、「この業務、10分短縮できた」「このミスがゼロになった」そんな現場の歓声が、あなたの価値になる。
AIは大砲にもなるけれど、日々の仕事では関数がマクロ実行できたで十分効率化です。
・定型メールを下書きする
・議事録を要約して、次のアクションだけを抽出する
・ PDFから必要な項目だけをCSVにする
・テストデータを必要な境界値で自動生成する
・不具合報告の粒度をそろえるテンプレートを作る
こういう「ミニ武器」を束ねると、仕事が、一段軽くなる。
「並走する世界」を歩く
年末、家族接待で東京をぐるぐる。
浅草で着物姿はほぼ外国人、合羽橋では外国人に包丁が大人気。“荷物に刃物を忍ばせる平和なニッポン”。
築地は中華系の観光客減少で買い物しやすく、蔵前カフェにはおしゃれ女子が集い、亀戸のガチ中華は日本人ゼロ。
交差しているのに、重なり合わない人たち。
多文化、異邦人、世代間――並走するパラレルワールド。
地方へ帰れば、後期高齢者の接待。巨大イオンモールに繁華街が吸い込まれ、道路は車のためにある。
免許を返納した高齢者が安全に歩くのも難儀。
「安心して歩ける」ことが、すでに崩壊している世界。
そしてグローバルでは、力を正当化する語りがさらっと表舞台に出てくる。
『虐殺器官』や『デス・ストランディング』の世界観が現実の輪郭に近づいているような寒気。
分かり合えず、利害も一致しない世界をどう歩くか。
それでも、喧嘩せず、共に生きる方法はあるのか。
「敵を減らす」ための4つの作法
1. 短く返す
長文は誤解の温床。意見は短く、事実ベースで。
「わたしはこう見た」「今はこうしたい」の二段構えで。
2. 共通の利得に落とす
「皆の工数が減る」「安全が上がる」「クレームが減る」利得にすると、反対が減る。
3. 矢印を自分に向ける
「私の側でこう工夫します」「私がここを受け持ちます」。要求よりも、提案と引き受けを増やす。
4. 出口を用意してから入る
批判はOK。でも「代案」「撤退条件」を持ってから議論に入る。
これだけで、場の温度が下がる。
「価値を生む」ための3つの実践
1. 現場で困っている具体を拾う
例:手作業の照合作業、二重入力、Excelの整形、議事録の粒度揃え。
困りごとほど、AIの効果が出る。
2. 再現性のある小さな道具を作る
・テンプレート
・スクリプト(RPAでも可)
・プロンプトの「レシピ化」
使い回せる形にして、誰でも使える状態に。
3. 計測して、見せる
「月30分削減」「エラー率20%減」——数値は最強の味方。
小さな改善を、ちゃんと「価値」に見えるようにする。
個人戦のための装備チェックリスト
•空気計:相手の関心・制約・期限を、最初に聞く/想像する
•小技:要約・テンプレ化・ショートカット共有
•AI相棒:文章整え、要約、コード補助、データ整形をいつでも呼べる
•見える化:改善の前後を簡単な数値で示す
•撤退線:やめる条件と代替案を準備してから踏み込む
それでも、共に生きるために
分かり合えなくても、利害が一致しなくても
「敵を減らす」ことと「価値を生む」ことは、共存のための最低限のルールです。
そして、AIは人を置き換える“大砲”ではなく、人の衝突を減らす潤滑油にもなりうる。
柚木麻子『Butter』が描いた、評価と欲望の絡まり合い。
伊藤計劃『虐殺器官』が突きつけた、言葉が作る暴力。
小島秀夫『デス・ストランディング』が教える、切れているようでつながっている世界。
いま私たちに必要なのは、ロープやはしご。争いではなく、別の世界に価値観に渡るための道具。
個人戦の時代に、大砲はいらない。
小さな武器と、穏やかな作法で、今日を少しだけ前に。
喧嘩せず、でも負けず。
その実務的な優しさこそ、長い余命を生き抜くための、知恵だと思うのです。
#Butter #虐殺器官 #デス・ストランディング