創業物語 プロフィール
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  第49話    「ついに資本金の払込日がやってきた…」 2001/7/16  
1997年11月30日

この日(確か日曜日でした)、ボクは37歳の誕生日を迎えていました。

この前日、サラリーマン時代の最後の大仕事、求人サイト「登龍門」の1999年
新卒採用に向けたニューアルオープン作業を終えたばかり。

掲載各社からの原稿の遅れやシステム開発の遅れなどもあり、この数日間は、
徹夜続きだったのですが、ひとつの仕事をやり終えたという充実感があり、と
ても清々しい気持ちの誕生日だったのです。

思えば、1995年にスタートした、この「登龍門」の企画・開発・運営の責任者
として足かけ3年間過ごせたことが、ボクの独立には大きな影響を与えていま
す。

このことは、ボクが所属していたH社の、社長をはじめとする先輩方・同僚諸
子に深く感謝しなければいけないことだと、今更ながら思っています。


さて、翌日の1997年12月1日。

いよいよ会社設立に向けた、実務が本格的に開始されることとなりました。

まずは、事務所の決定。
これも本当に恵まれており、仕事仲間のデザイナー事務所が入居していたビル
の1フロアが空いており、そのビルのオーナーを直接紹介してもらうことがで
きたのでした。

そして、なんと!
ふつう賃貸契約を結ぶ時には、相当額の保証金(敷金)を払わなければいけな
いのですが、このオーナーは、

「会社作るときは、いろいろモノ入りだと思いますから、保証金はいいですよ。
  私も、多少は起業家支援をしなきゃね!」

と言ってくれたのです。
これには、ほーんとに助かりました。

事実、設立1年目、銀行残高が底をついたこともあり、この時の保証金免除が
なかったら今頃…と青ざめたものでした。


1997年12月3日。

この日に行った大仕事が、定款の認証。

定款とは、会社にとっての法律みたいなもので、会社のいろーんな決まり事を
一冊の書類にまとめて、法務局所属の公証人に認証をもらわなければならない
のです。

これは司法書士の方の助けを借りながら作成し、無事12月3日、認証を得る
ことができました。

そして…

1997年12月5日。

さー、問題の資本金の払い込み。

独立を決意してから、この約2ヶ月の間、友人・知人に出資のお願いをして回
り、結果的に総額1130万円の資本金を集めることができたのでした。

が、この段階では、あくまで口約束。
実際には、12月5日から12月11日までの1週間の間に、会社設立用の特
別口座に振り込んでもらわなければならないのです。

    『果たして、本当にみんな、払い込んでくれるんやろか…』
    『いざとなったら、“やっぱヤーメタ”ってならないだろうか…』

正直言ってかなり不安でありました。

さー、いよいよ払い込み初日の12月5日がやってきました。

資本金の払い込み事務をお願いした東京三菱銀行月島支店のO課長に、おそる
おそる初日の3時過ぎに電話を入れて払い込み状況を確認したところ、

「あー、クギサキさん、早速何件か払い込まれてますよー。
      えーっと、クギサキヒロミツさん、
      ベンチャークリエイト(注:K氏が 運営するベンチャーキャピタル)さん…
                                                    あ、とりあえずこの2件ですかねー」

そ、そうか…。さすが血を分けた兄弟。真っ先に振り込んできたか…。
そして、さすがその道のプロKさん、そつがないなー。

し、しかし…。初日はたったの2人か…。
ま、まぁ、あと6日もあるしなー。
今日は週末で忙しかったろうから、きっと来週になるんだろうなー…。

と、つとめて冷静になろうとしたものの、イヤーな予感に襲われた資本金払い
込みの初日だったのでした。


                (あの心配な人物が株主候補だもんなー…つづく)

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