釘さんの100の出会い プロフィール
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  <第122話> 「アイジャスト の辻太一朗さん」   2007/05/01  
 
僕がパフを創業して丸2年が経ったころだった。

「おいクギサキさー。今度おまえに紹介したい奴がいるんだ。ちょっとスケベ だけど、むちゃくちゃ学生思いの奴で、きっとおまえの仕事も手伝ってくれる と思うよ」

パフの陰の創業者であるM井さん(第46話~48話に登場)に、こう紹介された のが、本日の出会いの主人公である辻太一朗(つじたいちろう)さんだ。

辻さんは、リクルートの採用担当マネージャーを最後に同社を退職。採用コン サルティングや採用業務のアウトソーシングを行う、株式会社アイジャストを 創業した。1999年秋のことだった。

僕が辻さんに初めて会ったのは、辻さんがアイジャストを作って間もないころ だった。

辻さんとM井さんとで、安い居酒屋で一緒に飲んだのが初めての顔合わせだっ たと記憶している。コテコテの関西弁でマジメな話しと冗談とを交互に繰り出 す、実に軽快な喋りをする人だなあと思った。

そしてそれからほどなくして、パフが学生向けに開催していた大型のイベント への出演を、辻さんにお願いすることになった。辻さんのロジカルな頭と、軽 快な喋りを見込んで、企業のパネルディスカッションのコーディネーター役を 務めてもらうことにしたのだ。

狙いは見事あたり、辻さんのコーディネーターぶりは、企業にも学生にも、と ても評判が良かった。

それからというもの、パフのイベントといえば、必ず辻さんにお声をかけるよ うになった。しかも『タダ』で……。

当時のパフは、どうしようもないくらい貧乏で(いまもあまり変わらないかも しれないが)ギャラを払える余裕がなかったのだ。辻さんの「ギャラはええで すよ。まあ、ギブアンドテイクでやりましょう」という言葉に甘えることにし たのだった。

いまから考えると、パフから辻さんへの「ギブ」は殆どなく、「テイク」ばか りだったような気がするが、本当にぜんぜん遠慮などすることなく、辻さんを あたかも専属タレントのごとく酷使していたような気がする。

そういえばこのころ、辻さんと僕とで新たに生み出したイベントがある。いま でもパフの名物イベントとして続いている『つきしま村塾』がそれだ。

『松下村塾』をモデルにしたこの塾は、「就職の先にある大切なことを語り合 う」ということをコンセプトにして運営していた。床にシートや座布団を敷い て、靴を脱いで胡座をかく。10数名の学生や社会人が円座になって、酒を片手 に思い思いに、現代社会の問題点や将来のことについて議論するのだ。

辻さんが塾頭、僕が主宰という立場で運営を始めた。なぜ辻さんと僕とでこん な塾を開くことになったかというと、こんな会話が居酒屋で行われたからだっ た。

「パフにいま必要な学生って、結局は“就職”なんていうワードには振り回さ れない野太さをもった学生なんじゃないかなあ。就職とはまったく関係のない 熱いメッセージに触発された学生を集めて、そいつらをパフで採用しようよ!」

つまり、パフ自身の新卒採用の場として『つきしま村塾』が発案されたのだ。 しかも、不謹慎ながら、辻さんと僕との「呑みの場」が発案の場所だったので ある。

辻さんには、パフの社員の面倒もよくみてもらった。商品やイベントの企画の 際、採用のプロとしてのアドバイスをたくさん頂いていた。

現在、辻さんの会社(アイジャスト)は、売上も人数も、ずいぶん大きくなっ た。また辻さん自身もすっかり業界の有名人で、テレビ、新聞、雑誌などへの 露出も多い。

つい先日も、テレビ東京の『カンブリア宮殿』(毎週月曜夜放映)にゲストと して出演していた。僕はニタニタしながら辻さんの映っているテレビを眺めて いた。

この1,2年は、ゆっくり会って話す機会が減ってしまったが、たまには安い 居酒屋で、昔のようにマジメな話しと砕けた話しで盛り上がりたいなと思う。

ということで79番目の出会いは、パフの創業期を、特にイベント・企画面か ら支えてくださった、辻太一朗さんでした。
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