釘さんの100の出会い プロフィール
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  <第01話> 「最初の出会いは産婆さん?」   2004/11/08  
 
僕が生まれて初めて出会った人は?

うーん。僕が初めて目にした人、ということであるならば、僕が「おぎゃー!」
と母親のお腹の中から飛び出したその瞬間をキャッチしてくれた“産婆さん”
ということになるのかもしれません。

でも、生まれたときのことなんて記憶の片隅にもないわけで、やっぱり最初の
出会いということになると、もっと別の人(もの?)を挙げなきゃいけませんね。

・・・・・・

僕は九州の、熊本県八代郡坂本村、という小さな田舎町の、さらにそのまた奥
地の田舎にある温泉旅館で、次男坊として生まれました。この旅館は母親の実
家で、母親のお父さん(つまりは僕のおじいちゃん)が経営していました。

母親の旦那(つまりは僕の父親)の職業は調理師。母親の実家で“板さん”と
して働いていました。僕の母親は、父親よりも5歳も年上。当時では珍しい姉
さん女房でした。

この父親と母親がどこでどうやって知り合ったのか。どうして父親が母親の実
家で“板さん”をやることになったのか。

定かではありませんし聞いたこともありませんが、なにしろこの二人の出会い
がなかったならば、僕という遺伝子を持った人間がこの世に存在することはな
かったわけです。

どんな事情があったのかは分かりませんが、僕が生まれて少しして、父親は別
の旅館で働くことになります。僕が3歳くらいの頃。母親と兄貴と僕の3人は、
その後、父親と一緒に一家4人で暮らすことになります。

もうどうしようもないくらいの貧乏家族。丸美屋のフリカケが当時のいちばん
のご馳走でした。でも僕は、なぜかこの頃のことをとてもよく覚えています。

「貧乏だけど家族全員が寄り添いながら一緒に暮らせる幸せ」。

そういったことを感じていたのでしょう。

ということで、「素晴らしき100の出会い」の一回目は、産婆さんじゃなくて僕
の“家族”。

今も幼い頃の記憶の中心にある、どうしようもなく貧乏だったけど、皆、一生
懸命生きようとしていた“家族”。これがやっぱり、僕の「自分らしさ」の第
一歩を形づくった、最初の出会いだと思います。
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