創業物語 プロフィール
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  第43話    「おれー、会社作りたいんだけど…」 2001/6/04  
1997年10月10日の夜。

当時、幼稚園の年長組だった娘の運動会が開催された日の夜だったと記憶して
います。

一昨日の夜、ムライミツル氏との会談(って単なる飲み会)で、独立を決意し
たクギサキくんではあったのですが、そのムライさんから授かった、重ーい言
葉…。

ム : 「でもなー、クギサキ、お前が会社を作って成功するためには、絶対守らな
       ければならない条件がひとつだけある」

ム : 「カミさんに誠意を持って独立を説明し、そして許しをもらい、さらには、
       独立を進めるにあたって、カミさんの協力を最大限得ることだよ」

正直言って、これはかなり憂鬱な条件でありました。

自慢じゃありませんが、クギサキくんは九州男児。男子一生の志を立てるに於
いて、女房にお伺いをたてるだなんて…
(って、実は反対されるのが怖かっただけなんですが…)。

しかし、ムライさんの「カミさん論」には、もんのスゴイ説得力があり、カミさん
の同意を得ないことには、先に進めない、呪縛にかかったような感覚でした。

ボクはムライさんのことを「売れないヘコキ営業マン」だとかなんだとか、こ
のメンバーメールでも、オチョクリながら紹介してきましたが、実は社会人の
先輩として一番尊敬し、信頼している人物のひとりなのでした。

ボクがリクルートでヘマをしながらも、仕事を続け、そこそこの実績を出せた
のも、ムライさんのおかげだし、顧客に接する姿勢や、人生とは意気に感じな
がら生きていくもんだ、という姿勢を学んだのも、ムライさんからだったんで
すね(そんなことは、照れくさくて本人の前では決して言いませんが!)。

そんなムライさんの言うことを聞かないわけにはいかないし、内心ムライさん
の言うとおりだと、納得していたわけで…。


夜も深まり、アイロンをかけ終わって寝ようとしていたカミさんに、意を決し、

ク : 「あ、あのさー」

カ : 「え、なに?」

ク : 「おれー、会社作りたいんだけど…」

カ : 「……」

ク : 「い、いやー、あのー、〇♂◆♀☆※★○●◎◇□■△▲…………」

それから1時間ほど、いろんなことをしゃべり続けました。

まるで、いたずらをした子どもが、必死になって自分は悪くないということを、
どう考えても筋が通らないことなのに、無理矢理、母親に言い訳するように…。


いったいどんな理屈を並べたのか、実はさっぱり覚えていないのですが…。

ひとつ覚えている屁理屈は、

「会社を作ろうと作るまいと、失敗するときは失敗するし、成功する時は成功
  する。だったら自分の会社を作って失敗したほうがまだあきらめがつく」

という、かなり無茶苦茶な理屈だったかな…。

そして、最後には

「わかりました。どうせ私がダメだと言っても、あなた、やるんでしょ?
  だったら、好きにすれば…」

と、いうことで無事(?)カミさんは承諾してくれたのでした。

カミさんは、なんだかんだ言っても、亭主であるボクのことを信頼してくれて
いたのだ!と、勘違いかもしれませんが、自惚れた一瞬でした。

しかーし!もうひとつ実は難題があったのでした。

ク : 「あ、あのー、会社作るには、資本金が1000万円必要なんだけど、ウチ
       って貯金、いくらあるの?」

カ : 「んなもん、ある訳ないでしょ!子どもの名義の貯金が100万円あるかど
       うかだけよ!!!」

ク : 「う、そ、そうか…」

さーて、困った。
会社をつくるための資本金。1000万円…。

10万円以上の現金を見たことのないクギサキくん。途方に暮れる秋の夜長で
した。

                    (イッセンマンエンねー。どうするの?…つづく)

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