釘さんの100の出会い プロフィール
バックナンバー一覧へ
 
  <第133話> 「新卒二期生 ミズノの巻」   2007/07/23  
 
今回の登場人物は、前回までのイトーやキミワダと同様、パフの新卒二期生と して採用されたミズノという社員である。

今回のコラムでは、実名の掲載許可の確認が間に合わず(噂によると海外で暮 らしている?)、実名ではなく、「ミズノ」というカタカナ名だけでの登場に なってしまうのでご了承いただきたい。

・・・

ミズノは、パフへの応募当初から「爽やかさ」では、トップクラスの評価を選 考委員から得ていた。

選考委員といっても、当時の新入社員の、アサヒ、タカノリ、ヨシカワの3名 の評価なので、あまり重みがあるものでもないのだが…(苦笑)。

僕の評価も、「爽やか」かどうかは別として、とても実直で、真面目な人柄で あるという評価に変わりはなかった。そして、比較的スイスイと、パフの選考 を通っていき、気がつけば内定を出していた。

内定者時代のミズノのことで、決して忘れることのできない、脳裏に焼き付い ている出来事がある。

2001年7月に開催した、企業向けセミナーのあとに開催した懇親会でのことで ある。

前年の一期生からの伝統になっていたのだが、内定者は「一発芸」を必ず披露 することになっていた。

このセミナーには、内定者の一発芸を期待してかどうかはわからないが、非常 に多くの企業の担当者が参加していた。お取引をいただいていたお客様はもち ろんのこと、この日のセミナーが初めてという企業の皆さんも多数いた。

ミズノは、ロックギターをガンガンに演奏してくれるという。このたくさんの 観客を盛り上げるには、うってつけの出し物だと、僕も期待していた。

一発芸の時間がやってきた。なんとミズノは、それまでのスーツ姿から、Tシ ャツとジーンズ姿に着替えているではないか!!そして、手にはエレキギター。 アンプまでも用意してある。

皆、固唾を飲んで、演奏が始まるのを待った。

「ジャジャーン!キュイキュイキュイーン」という、テンポアップした、乗り のいいギターの演奏を、誰もが想像していたことだろう。

しかし……。

実際に聞こえてきた音は、ポツン・ポツン・ポツンという、単音の弦を弾く音。 悲しく消え入りそうな音だった。

手拍子の態勢を整えていた僕を含む観客は、気まずい雰囲気になり、全身が硬 直してしまった。思わずグラスにビールを注いで飲み干し、凍りついた空気か ら逃れるのに必死だった。

が、ミズノは、周囲のそんな反応など気にする様子もなく、マイペースの演奏 を、自身満々に、延々と続けていた。たいした肝っ玉だ。


そんなマイペースなミズノだったのだが、正式に入社した後は、ちょっと辛い ことが続いた。なかなか自分の実力を上手く発揮させることができずに、悶々 とした時間を重ねることになったのだ。

パフの会社としての器が、彼を支え育てるには不十分であり、そのことに僕も 苦しんだ。

結局、入社1年を経る前に、ミズノはパフを離れることになる。とても辛くは あったが、パフで悶々とした時間を過ごすよりも、違う環境でイチからやり直 すほうが、後で振り返ったとき、良い選択になるであろうと思った。

退職後も、ミズノは何度かパフに遊びに来てくれた。アメリカで勉強しながら 働く予定だと言っていた。

あれから丸5年。最近は連絡を取り合うことがなくなってしまったが、「便り のないのは元気な証」という言葉もあるように、きっと元気に、どこかの空の 下で暮らしていることだろう。ギターの腕も、あのころよりは、きっと上達し ていることだろう。

パフの10周年記念イベントにでも、ひょっこり現れて、キミワダの司会のもと、 名演奏を聞かせてくれたら、どんなにか感動することだろうな。

ということで86番目の出会い。新卒ニ期生のミズノとの出会いでした。
<< 前のコラムへ 次のコラムへ >>
 
バックナンバー一覧へ