釘さんの100の出会い プロフィール
バックナンバー一覧へ
 
  <第116話> 「住友スリーエムの永田さん(前編)」   2007/03/19  
 
西暦2000年9月。パフで働いていた4人の内定者のひとりに、フルカワという 関西の大学生がいた。このフルカワが新規開拓営業をするなかで出会ったのが 住友スリーエム(以下、3Mとします)であり、本日の登場人物、3Mの若き 人事採用担当者、永田さんなのであった。

このときの出会いの経緯を『自転車操業物語』でずいぶん昔に書いたことがあ る。「SS社のNさんとの出会い」というタイトルだった。

書いた当時は、まだ現職の人事担当者だったことからイニシャルで書いたのだ が、いまでは人事を離れて久しいこともあり(しかもいまは日本を離れている こともあり)、また実名掲載の許可もいただいているので、今回は、昔の物語 を加筆修正しながら再掲載しようと思う。

------

2000年9月14日。

内定者のフルカワとボクは、朝のミーティングが終わってすぐ会社を飛び 出した。

午前10時に、世田谷の用賀に本社のある3M社の人事部にアポイントをも らっていたためだ。

3M社には、ボクも含めてパフの社員やインターンシップは、それまで一 度も営業訪問したことがなかった。


実は1週間ほど前、フルカワが、パフの資料を「とりあえず」一式送って いた。

それを先方の担当者がちゃんと目を通してくれており、“顔の見える採用” というフレーズに興味を持ってくださったのだった。

そして3M社の方から「詳しく話を聞いてみたい」という電話を、フルカ ワ宛にくれたのだった。

「フルカワァーっ!先方から電話がくるなんて、こりゃ、大いに脈ありだ ぞ、初受注するぞっ!」

大きな期待をもって、ボクも一緒に行くことにした。

しかし!フルカワと一緒に3M社に向かうボクは、モーレツに機嫌が悪 かった。

なぜか?

●その1 内定者4人は、いつも団子のようにくっついて仕事をしており、遊びやサ ークル活動のように、ペチャクチャペチャクチャと、緊張感なく仕事をし ていた。そのことに堪忍袋の緒が切れたボクは、朝のミーティングで彼ら に怒鳴り散らしたのだった。「仲良し倶楽部じゃないんだ!バカタレ!」 と。

●その2 フルカワは3M社まで「30分あれば着きます」と言っていたのだが、調べ てみたら、月島駅から用賀駅までの所要時間だけで40分もかかる。そのこ とが判明したのが、朝のミーティング終了後の9時15分。アポの時間は午 前10時。「馬鹿やろー!!遅刻じゃねぇか!何が30分だ!ちゃんと調べて おけ!」と怒りまくるボク。

このふたつの理由で、ボクは朝っぱらから完全にブチ切れた状態で、3M社 に向かっていたのだった。

向かう途中、フルカワとは、ほとんど会話を交わさなかった。言葉を発する と、さらに怒鳴りつけそうな自分がいたからだ。

実はこのフルカワ、この日が内定者研修の、いったんのピリオドの日だった。

彼女(フルカワはいちおう女です)は、関西の大学に通っており、後期の授 業が翌週から始まるため、大阪に帰らねばならなかったのだ。

まだ受注のなかった彼女にとって、この日の3M社が最初で最後の大きなチ ャンスのはずだったのだ。

用賀駅に着いた。

時間はすでに約束の10時になろうとしていた。ここから3M社まで10分くら いはかかるであろう。

「おい、フルカワ!すぐに3M社に電話しろ!担当の人に、『10分ほど 遅れてしまいます。大変申し訳ございません』と丁重に詫びるんだぞ!」

フルカワはビビりながら、自分の携帯から電話した。

「く・クギサキさん、3Mさん『大丈夫だから慌てずにおいでください』と のことでした」

“慌てずに”といわれても10分もの遅刻である。用賀駅の出口から小走りで 3M社に向かった・・・つもりだった。

-------

あまりに長いので、今回はこのへんで。後編に続きます。
<< 前のコラムへ 次のコラムへ >>
 
バックナンバー一覧へ